舞台版『黒部の太陽』@梅田芸術劇場
バタバタしているうちに、観劇してから1ヶ月以上たって、千秋楽もだいぶ前に過ぎちゃいました![]()
ともかく、記録には残して置こう!と、今更ですが……
ついに大阪の地を踏んだ!!って話の方は近日中に別エントリーで書くとは思いますので、ともかく舞台の話を。
『黒部の太陽』と言えば、ある年代の人は「ああ、あの裕次郎の映画!」ってなるくらいの大作映画が存在しています。(その前に、原作小説もありますが)
私もさすがに映画そのものを見た事はありません。なにせ、この作品、その後ビデオなどになる事の許可が出ていないため、ほとんど幻の作品になってしまっています。(12月に梅田芸術劇場で1回のみの上映があるそうです。)
そんな、幻の映画の舞台化!ってのが多分、最大の売り。
実際のところ、映画作品からの舞台化ってのは最近のミュージカルだと、ディズニーアニメが続々と出てるし、私が見に行った作品でも『レベッカ』は映画が先にあります。そういう意味では珍しい事ではないのかもしれませんが、今回、特に個性的だったのは、映画のストレートな舞台化ではなく、映画のメイキングを含めた舞台化になっていた点です。
『黒部の太陽』の物語は、黒四ダムで知られる黒部の巨大ダム(&水力発電所)を建設するために必要なトンネルを完成させるまでの苦難の話です。中島みゆきの「地上の星」をBGMにプロジェクトXでその秘話を涙ぐみながら(汗)ご覧になった事のある方も多いかと。
では、映画メイキングの物語は何故、わざわざ舞台に組み込まれるのか……もちろん、製作:石原プロモーションって事情が存在するから、と言うのもあるでしょうけど、実は、映画の製作の裏側にももう一つのプロジェクトXが存在していたから、だと思います(思いたい、というか)。
これまた、数年前にTV放映された石原慎太郎原作の裕次郎の伝記ドラマ『弟』をご覧になった方はご存知かと(汗)。
石原プロモーションが当時の日本の映画界にあった5社協定(言ってみれば、俳優、監督、配給先の囲い込み)を破り、製作に踏み切ったことと、スケールの大きな撮影はかなりの苦難だったようです。
そんなわけで、舞台は二重構造で進んで行きます。中村獅童は裕次郎であり、トンネル技師の青年、岩岡であり、私のお目当ての神田正輝は三船敏郎であり、関西電力のトンネル現場責任者(?)の北川である、という感じ。
映画のメイキングのシーンになると、当然、実在の人物(ほとんどの方は鬼籍に入ってるけど、存命の方もいる)を演じる事になります。と言っても、両方を演じ分けなくてはいけないのは、上の二人だけ。
あとの監督役の人(宮川 一朗太<この人は私の中ではマイケル・J・フォックス
『ファミリータイズ』の吹き替えは最高!でした)や若き日の小林専務の人は、その役が専門。
石原プロモーションでのシーンは、小ネタ仕掛けは色々あって、それこそファンサービスとしては良くやってるよねぇ、って感じなんです。
たとえば、壁にある裕次郎主演映画のポスターが獅童さんの顔に挿げ替えられているとか、若き日の小林専務が石原プロ名物の炊き出しの原型(?)をしてみたり、兄慎太郎役として渡哲也が映像で現れたり(<おいTV電話か!と突っ込みたくなるシーンでしたが)……
なんだけどぉ、なんだけどぉ……
申し訳ないけど、このメイキングにかかわるシーン、要らないよ、って気分になるんだなぁ、これが。
一つに裕次郎も世界の三船も、有名な上に、まだ記憶に新しすぎて、演じている方もやりにくいだろうけど、見てる方もどうにもこうにも。
贔屓目に見たって、神田さん演じる三船さんは……っていうか、三船さんを演じてる時の神田さんは楽しくない。北川さんを演じている時は生き生きしてるのに!!
でもって、最後のシーンが本当に蛇足!
非常にドラマチックなトンネル貫通の後に、映画製作側の話に戻るのですが、それも現在、この2008年。
ってことは、主演のお二人は鬼籍にお入りになってるので、スモーク焚いてのどうやら天国!?映画を撮られた監督さんも最近そちらに仲間入りしたそうでう。
獅童さん演じる裕次郎が天国から現在の日本映画界に喝を入れるような台詞を言うのですが、その横で、まだ北川さんの衣装の神田さん(三船)が黙って立ってる。(三船さんは寡黙=黙ってそこにいるが演技プラン!?)
で、最後の決め台詞が「俺は待ってるぜ!」<裕次郎の映画の中での有名な決め台詞ですね。
私も、実際に映画では見てないけど、CMで切り取られたシーンとかで見て、耳にした事があります。
そんな有名な台詞をそんなところで言わされるのも大変だよね、当然だけど、オリジナルとは全然違うし。でもって、その違いがどうしても気になっちゃって入っていけない。
その前のシーンが、ホントにみんな号泣のいいシーンだったの、大阪のノリのよいお客さんはたち、思わずあまりな「俺は待ってるぜ」に声上げて笑っちゃってましたよ。泣き笑いな話は好きだけど、こんな泣き笑いはカンベン![]()
核になる、トンネル工事の物語は実話の持つ力と、すでに映画で練られた物語に乗っかっているので、ストレートに伝わってくるものでした。ただ、映画では問題にならない場面転換が舞台ではキビシイですね。
トンネルの現場、飯場、関西電力の本社、北川の自宅と場面がどうしてもあちこちに行かざるを得ないのですが、そのたびに暗転して、テーマミュージックが流れて……う~~ん。
ああ、なんか悪口ばかり書いてるようで……
色々と、拙いといわざるを得ない点はあるものの、観客の心はがっちりつかんでるのも確かでした。
岩岡親子の対立や、病気の娘を残して山に篭らなければならなかった北川。現場での不幸な事故で失われる若い命……それでも、立ち止まらないで日本のこれからの発展のためにと突き進む男たち。
観客のほとんどはそんな高度成長期のがむしゃらさを体験している人たちばかりなので、あちこちで涙をすする音が聞こえてきます。(って言うか、自分も涙が出たし。なのに、なんでサイゴンでは泣けないんだ、自分!?)
私の隣の紳士っていうより、おいちゃん(汗)は、よほど泣いてる姿を隠したかったのか、ジーンって来るシーンになると、あわただしく団扇だか扇子をパタパタとさせて、それがまた変な音がするもんだから、オイオイって(苦笑)。
そうだ、オイオイって言えば、スポンサーがよ~~くわかるシーンが多くて笑っちゃった。
裕次郎→渡哲也といえば、松竹梅のCMを歴代しているので、当然、協賛スポンサー。で、舞台上で飲酒のシーンがあると、そこに出てくるお酒は全部、松竹梅。
北川さんの自宅では、どう見てもビールの大瓶のサイズなんだけど、ラベルは松竹梅。飯場の酒盛りも贅沢にも松竹梅。トンネル貫通の鏡割りも松竹梅。まぁ、鏡割りはいいんだけどね、他のシーンはちょっと苦笑。しかも、役者さんたちがすごく気を使って、ラベルが客席に見えるように置いたり、持ったり……ご苦労様でした![]()
そんなプロジェクトX二本立てな舞台だったわけですが、世の中的に注目だったのは、なんと言っても大放水シーン。見に行くとか、見た、というと「ねぇ、水のシーンどうだった?」の質問が返ってきました(笑)。
ええ、見に行く方だってそこは気にならないと言ったらうそになる(爆)。
そんな観客の好奇心に応えるように「バックステージツアー」が抽選で実施されていましたが、残念かなそれは外れちゃいました。どうなってるのか、見たかったなぁ。
ただ、確かに直接の水流は客席には来ませんが、役者や大道具に当たってはねる水がありますから、3列目ぐらいまでにはビニールの水よけが貸し出されていました。8、だか9列めだった私のところでは、水は直接は来ませんが、わずかな飛沫は頬に感じられました。それと、びしょぬれになった役者さんたちが通路を走るので、通路際の席だとちょっとは水滴がくるかも。
さすがに放水は1幕の最後。休憩時間に濡れた舞台の床を掃除してました。
なんだかんだで、すっかり長い文章になってしまった(汗)。
ま、今回も神田正輝を生で見られて嬉しかった!ってことで(笑)。
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