井上芳雄様、
芳雄くん、あなたの声は私にとっては魔法の力を持っています。
あなたが自分はオーストリアの皇太子だと名乗れば、目の前のあなたがどんなに日本人的平面なお顔
をしていようと、日本語を話していようと、私の目には孤独に悩む王子に見えてきます。
心を深く病んでいると言われれば、重い重いよどみの中でうずくまる青年に見えてきます。
GIだといわれれば、やっぱりそう見えてきます。あの子は蓮の花、愛しているといわれれば、その少女は蓮の花になり、あなたが一心に愛していると思えます。
そんなフィクションをノンフィクションにしてしまう力のある声で、ノンフィクションを語られたら、これはとんでもない事です。塀の中に入って、奥さんの死に目にも会えないようなろくでもない男でさえも、いとおしく切なくなってしまいます。ただ、自立を目指そうとするだけの青年の決意も涙を誘います。
どうしてくれますか、この事態を!
と『届かなかったラヴレター』といよりは『届ける気のないファンレター』形式ではじめさせていただきました(汗)。
上で書いているように、はい、泣いた、泣きましたよ
でもね、いきなり本心を言ってしまうならばちょっとずるい企画だよね、最初から泣けちゃうのはわかってるんだもの。どんなに拙い表現で書かれていようと、それが真実である限り、受けての心に強く訴えかけるのはわかっているんだもの。
できれば、書かれていない行間のドラマをプロとして生み出して、それを二人の素敵な唄歌いに表現させてあげて欲しかったかなぁ。
でも『届かなかった』理由って、色々あるものだなぁ、と改めて思いました。
もちろん、一番多いのは死別だけど、生き別れでも二度と会えないってケースもあるし、そして目の前にいても決して口には出さない、出せない思いもある。いろんな『届かない』が織り交ぜてあるところは、さすがです。
聞き手それぞれに琴線に触れるものがきっとあったと思うから。
たとえば、私にとっては小さな小さな恵ちゃんへのパパからの手紙は、どうしようもなく涙が溢れてきました。生まれた時から終わりが見えていた命。自分の友人も同じ体験をし、その話を聞いているので友人の顔も浮かんでくるし、これはもう……だめ。だけど、すごく大切な手紙で、より多くの人に触れて欲しいと本当に思う。
そして、もう一つ個人的に、実はこの舞台が始まる頃、私の大昔の上司が青空へ帰って行きました。私との関係は大昔なのですが、パートナーは先ごろまでお付き合いがあったので、彼がお通夜に行き、奥様の挨拶を少し話してくれていました。こんな言い方は不謹慎だけど、もしも、その奥様の姿を見てしまっていた、この舞台は本当に辛すぎたと思います。
というのは、見送った直後にはこういう手紙はやっぱり書けないと思う、こんなメッセージを綴れるようになるまで、その奥さんはこれからどれだけの孤独な夜を送っていくのだろうと思うと……これに現実の顔が浮かんでしまったら……
とまぁ、涙腺、琴線を強く刺激してくるものがあった一方で、バリエーションがあるがゆえにどうにもこうにも私は入り込めないものも存在したし。
不倫がとても嫌いなので、その気配を感じるのはNGだったし(敬愛の範疇だよな、って思えるのや、結婚前の浮気は別ね)、自分の今の幸せは幸せで抱え込んだ上で、青春の思い出を美化して振り返っていたのも、なんだか違うよなぁ、と私は感じてしまった。(手紙の表現そのものは、非常に文学的、芳雄くんの朗読は目の前にその景色を思い浮かべさせてくれたのだけれども、それでも、いや、それだからの違和感というかも。)
とはいえ、悲しい方も幸いにもまだ疑似体験や間接体験の域を出ていない私は、もう一方で冷静に視線でも手紙を受け止めているわけで(汗)。
やもめと未亡人の寿命(?)の違いって、よく聞くけど、手紙を聞いてとっても納得。
夫→妻へのは過去を振り返り、己を反省し、伝えられなかった愛と感謝を綴っているのに対して、妻→夫は過去の思い出を抱きながらも、その思い出とこの先どうやって自分が生きていこうとしているかの思いを綴っているのが多いと感じました。視線が過去に向かっている手紙と未来へと向かっている手紙、この差は大きいなぁと。これが寿命の長さに繋がってるのだろうなと。
全体的には、もうすこし"クスリ”っと笑いたくなってしまうような手紙も織り込まれていると、一層感情の振幅が深くなってよかったんじゃないかなぁと思ったのと(もっとも、この回は芳雄くんが盛大なる笑いをカーテンコール(?)で披露しちゃいましたけど、スケジュール誤解してて、翌日が大阪公演って、無理でしょいくらなんでもそれ(笑))、天使かなにかをイメージしたのかな、白っぽい色で統一された、ちょっと不思議なデザインの衣装(特に芳雄くんの薄手の超ワイドパンツは不思議)も良かったけど、いっそ、普段着だったらもっと手紙に血が通って身近に感じたかも。せっかく、クミコさんも芳雄くんも、いい意味で(?)普通の容姿なんだから。
そうそう、衣装といえば、比較的前の方からオペラグラス無しで見ながら「なんか今日の芳雄くんの髪型、いつもと違う?分け目が逆?いや、そんな事はないなぁ、でも、なんだろう、何か違う」って思っていたら、前髪がエクステだったんですね(ファンクラブの本人ブログより)。ああ、納得。
vol.1という事で、今後シリーズ化されるのかな。出演者を固定にしたらしたで、それもいいとは思うけど、いろんな人たちで続くと、味わいがまた変わっていいのだろうな(私は行かないけど)。
Recent Comments